マンガ vs バンド・デシネ?! ラウンド3 レポート

原正人 (2009/01/23)

このブログでお知らせしたように、去る1月11日(日)に京都国際マンガミュージアムで、「マンガVSバンド・デシネ ?! ラウンド3」と題するシンポジウムが行われました。

パネリストはフランス人BD原作者ジャン=ダヴィッド・モルヴァン(Jean-David Morvan)、ともにBD研究者で翻訳者でもある猪俣紀子と野田謙介の3名で、BD研究会の原正人が進行役を務めました。


(写真提供:鵜野孝紀)


聴衆はおよそ50人ほど。当初の予定より30分以上オーバーして、BDについていろいろな話題が展開されました。どんな内容だったのかごく大まかに紹介しておくと、

ジャン=ダヴィッド・モルヴァン
同ミュージアムで現在行なわれているBD展の注目点について。
自身が関わっている作品を使ったマンガとBDの違いの説明。
日本人作家とのコラボレーションについて。
猪俣紀子
フランスにおける日本マンガ受容の概要。
日本マンガの仏訳、BDの邦訳に関わった経験から、マンガを翻訳する際の問題点やそこから見えてくる相互の違いについて。
野田謙介
ジャン=ダヴィッド・モルヴァンの話を受けて、マンガとBDの共通点と相違点を、フランスのBD研究を援用しつつ説明。
BD研究の系譜。

といった感じです。各パネリストが図版を見せながら興味深い話をしてくれ、BDについてまだあまりよく知らないという人にとっても刺激的な内容だったのではないでしょうか?

なお、今回は、実にさまざまな人たちが会場に来てくださいました。フランスのインターネット・テレビ局「No Life」のアドリアン・カルパンティエ(Hadrien Carpentier)さん、フランスのマンガ出版社トンカム(Tonkam)の鵜野孝紀さん、ジャン=ダヴィッド・モルヴァン原作で『シヤージュ』(Sillage)という作品のスピン・オフBDを描いている高橋和隆さん、『モーニング』が90年代に海外マンガを多く掲載していた時期に、海外マンガの紹介に尽力し、今現在も『MANDALA』(講談社)に関わっていらっしゃるピエール=アラン・スジェッティ(Pierre-Alain Szigeti)さん……。他にも多くの方々にお越しいただいたのですが、特にこれらの方々からはそれぞれの活動について貴重なお話を伺うことができました。

内容が盛りだくさんすぎて、質疑応答の時間が十分に取れなかったのが残念ですが、もしラウンド4が行なわれるならその時の課題にしたいと思います。1年後に振り返った時に、年明け早々に行われた今回のシンポジウムが2009年の海外マンガ発展にとって幸先の良いスタートだったと言えるといいですね。

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