『JC.COM』 集英社

原正人 (2009/02/23)

『JC.COM』をご存知でしょうか? 昨年12月に「新しいコミックの形」というキャッチ・フレーズで集英社から出版された、偶数月20日発売の単行本扱いのマンガ誌です。

表紙を村田蓮爾のイラストが飾り、第1号には佐藤ショウジ竹内桜上山徹郎藤原カムイといった面々が名を連ねています。

どれもすばらしい作品ですが、その中で異彩を放っているのが、J. D. モルヴァン & 寺田亨『Le Petit Monde(プチ・モンド)』という作品。収録作の中では唯一オールカラーで描かれており、左開きで、日本のマンガとは逆に左から右へと読んでいきます。

『JC.COM』 2 カバー プチモンド 1巻 カバー

それもそのはず、『Le Petit Monde(プチ・モンド)』はもともとフランスのDargaud(ダルゴー)という出版社から出版されたBDなのです。しかも、この作品、日本で出版されたマンガがフランス語に翻訳されたわけではなく、日本人の作家がフランス人の原作者と組んで、直接フランスでBDとして出版されました。このようなケースはここ数年で少しずつ増えてきており、この作品以外では、Hikaru Takahashi (dessin) / J.D. Morvan (scénario), 7 Yakuzas, Delcourt, 2008(高橋光作画、J.D.モルヴァン原作 『7人のヤクザ』 デルクール 2008年)や複数の日本人作家が参加した Les Chroniques de Sillage, T5, Delcourt, 2008(『シヤージュ・クロニクル』第5巻、デルクール、2008年)があります。どちらも J. D. モルヴァンが絡んだ作品で、いずれにせよ、まだまだ珍しいケースであることには違いありません。

原著の書誌情報は以下のとおり。今現在第2巻まで刊行中です。

  • Toru Terada (dessin) / Jean-David Morvan (scénario), Le Petit monde, T1, Vamos, vamos !, 2005
  • Toru Terada (dessin) / Jean-David Morvan (scénario), Le Petit monde, T2, Real favela, 2008

外交官の娘として何不自由なく暮らしていた久美子が、ドリーム・ウィーバーという心地よい夢を見る機械を通じて「プチ・モンド」と呼ばれるスラムに住む少年ピエドラと出会い、それまで知らなかった世界を知るというストーリーで、今後の展開が非常に楽しみです。

『JC.COM』では、毎号20ページずつぐらいが掲載されていく様子。ただでさえBDの翻訳が少ない中で、今現在フランスで刊行中の作品がこうして翻訳されるのはすばらしいことです。

そんな『プチ・モンド』が収められた『JC.COM』ですが、第 2 号がつい先ごろ出版されました。今号からは柳澤一明作品もラインナップに加わり、いよいよ充実です。まだ手に取ったことがないという方、ぜひ書店で探してみてください。雑誌扱いではないので、単行本コーナーにあることが多いようです。なお、第1号には寺田亨の、第 2 号には J. D. モルヴァンの紹介をしているページがあります。J. D. モルヴァンについては、いずれインタビューを公開する予定。請うご期待!

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