『EUROMANGA(ユーロマンガ)』 vol.1

原正人 (2008/09/06)

2008年9月9日(火)に、日本で初めてヨーロッパ・マンガの紹介に丸々一冊を費やした雑誌『EUROMANGA(ユーロマンガ)』第1号が刊行されます!

フルカラー120ページで、価格は1,575円(税込)。これまで『アディダス・マンガ・フィーバー』や『error (エラー)』、日仏マンガのアンソロジー『JAPON』、ジョアン・スファールの『プチバンピ~学校へ行く』、あるいは『季刊エス』などでたびたびバンド・デシネを紹介してきた飛鳥新社からの発売です。

euromanga.jp (公式サイト)
ユーロマンガ vol.1 (飛鳥新社)

第1号に掲載される作品は以下の通り。

という豪華なラインナップで、それぞれアルバム1巻分の約半分が訳載されます。残りについては第2号、第3号に掲載予定だそうです。

アルバムの約半分が4作品掲載されて1600円弱というお得感に加えて、BDの世界を紹介する記事やボーナス・ページもあります。ぜひ書店で手に取ってみてください。

以下に飛鳥新社からのプレス・リリース全文を引用します。

『EUROMANGA(ユーロマンガ)』は丸々一冊をヨーロッパのマンガの紹介に費やした日本最初の雑誌です。ここ数年の内に刊行されたヨーロッパの優れたマンガを、当面は半年に一回のペースで日本の読者にお届けします。作品の翻訳はもちろんのこと、記事や作家のインタビューを通じて、まだ日本ではあまり知られていないヨーロッパのマンガ事情をお伝えしたいと考えています。

世の中には非常に多様な表現があり、マンガもその例外ではありません。日本のマンガ一つを取ってみても、その多様性は決して一言で説明できるものではありません。しかしながら、世界のマンガ表現に目を向けたとき、市場の規模やスタイルの影響力からひとまず三つの区分を考えることができるでしょう。すなわち、日本のマンガとアメリカン・コミックス、そしてヨーロッパのマンガであるバンド・デシネ(Bande Dessinée)です。

アメリカン・コミックスが多くのハリウッド映画の原作となることによって日本でもよく知られているのに対し、バンド・デシネの世界は、多くの日本人にとってほとんど未踏の地であると言っていいでしょう。しかし、バンド・デシネは日本のマンガ同様に長く豊かな歴史を持っており、そこにはオリジナルで創造性に満ちた質の高い作品が無数に存在しているのです。また、『EUROMANGA』に掲載された作品を見れば一目瞭然ですが、バンド・デシネは日本マンガなどの外的な影響を巧みに取り入れつつ、躍動感あふれる、多様で豊かな表現を生み出そうとしています。

今回、紹介する四作品「スカイ・ドール」、「ラパス」、「ブラックサッド」、「天空のビバンドム」はそれぞれ、セクサロイドを主人公にしたSF、吸血鬼もののゴシック譚、邦訳が二冊出版されている探偵ものの最新第三巻、日本にもファンが多いアート系マンガ家の長編初翻訳で、バンド・デシネの多様性を示す格好のラインナップです。四作品の作者はいずれも何らかの形でアニメーションの仕事にも従事しており、その意味でも興味深い選択であると言えるでしょう。

日本の美食家たちはフランス料理やイタリア料理、中華料理など世界中の料理に舌鼓を打ちます。しかし、だからと言って、日本料理をないがしろにすることはないでしょう。同様に、ヨーロッパのマンガ読者たちも、自らのマンガであるバンド・デシネを愉しみ、それと同時にアメリカン・コミックスや日本のマンガもじっくりと味わっています。

私たちはその愉しみを日本の読者にも共有していただきたいと願っています。日本のマンガが世界で通用する素晴らしい内容を有していることは改めて言う必要もないでしょう。ただ、世界には日本のマンガにない魅力を持ったマンガも当然ながら存在しています。それらを知ることでさらにマンガが面白くなるのではないか… 『EUROMANGA』が、ヨーロッパのマンガの芳醇な香りと豊かな風味を発見するきっかけになることを願ってやみません。ぜひじっくりと味わってください。

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